蝶のように舞い蜂のように刺す

作品へのありがたみを込めるお(^o^)ノシ 舞台・2.5次元ミュージカル・映画の感想備忘録。

【観劇感想】「ミラクルステージ☆『サンリオ男子』」【キティさん】【きりみちゃんさん】【けろっぴさん】

 

〜プロローグ〜

世情の流れを趣味趣向の側面から見ると、個性が尊重される時代となった。

男性向け漫画市場で女性が男性顔負けに活躍する。男性がファッションとして瞳にカラコンをつけてスカートをはく。

ジェンダーレスという単語が浸透していく中で、性別ではなく個性という単位で物事を捉えようとする視点が強まっている。

 

「ミラクルステージ☆サンリオ男子」を観劇した余韻に浸る中私は、個性を尊ぶ時代の流れに思いを馳せ、きりみちゃんさんのポーチを握りしめるのだった。

 

f:id:ayuteni0818:20181207155234j:plain

昔ゲーセンで7千円かけてGetしたきりみちゃんさんポーチ

 

『好きなものを好きと言えることは素晴らしい』

そんな風に“今のご時世”を反映した趣深いステージでした。 

 

 

 

サンリオ男子」とは「逆オタサーの姫

サンリオ男子」はサンリオキャラクターのことが大好きな男子高校生たちの日常や健気な想いを描く、サンリオのメディアミックス展開のひとつ。サンリオという老舗メーカーが自社コンテンツの可能性を広げる挑戦の中で爆誕したコンテンツですo(^o^)o

 

まず、私は初期からの「サンリオ男子」のファンではないのでファンの皆さまと感じる部分が違ったら申し訳ありません。「サンリオ男子」の名はメディアミックス展開の中で登場時から存在を認知していましたが、コンテンツをずっと追っていたファンではありません。外野から覗いた一意見となります。

 

 

幼い頃にサンリオが大好きだった女の子はたくさんいると思います。ゆるふわなキャラクターデザインや色合いは女心をくすぐる要素がたくさん詰まっています。

今思えば、私は立派なサンリオ女児でした。バッドばつ丸くんの学習机を愛用し、けろけろけろっぴのプールバッグを振り回して田んぼのあぜ道を駆け抜けていました🐸グッドはな丸くん派だったけど。

 

f:id:ayuteni0818:20181207155545j:plain

甥っ子に受け継がれたけろっぴカー

 

独断と偏見にまみれた私の意見を述べれば、女児は家庭の雰囲気で3タイプに分けられます。陽キャのディ●ニー、フツメンなサンリオ、オタクのジ●リ、みたいな。

言い方は悪いですが私はディ●ニーにハマれなかった女児なのです。

ディ●ニーは大変素晴らしくきらびやかな夢の世界を見せてくれるビッグコンテンツですが、美しい光が強すぎて息ができなくなる感覚に襲われる。「女の子なのにディ●ニーが好きじゃないの?」みたいなジェンダーへの圧力じみたものを感じる苦しさもあったし、それは今でも根強く残っているかもしれない。

そんな私にとって救いのオアシスがサンリオだったことは間違いない。

 

サンリオのキャラクターってゆるふわだけど、同時にどこか狂気を孕んでいると私は感じます。穿った見方を出来る人が考えたんだろうなぁというシュールな要素がふんだんに詰まっており、かわいい顔の下に隠す鋭い斬れ味にずっと心をゆさぶられている。サンリオはそんな大好きなメーカーさんです。きりみちゃんのツイッター面白すぎます。

サンリオの経営理念『みんな仲良く』という概念が大好きだ。学生の頃は(株)サンリオに入社したかったのです。でも絵が壊滅的に下手なので挫折しました。つらいです。

 

www.sanrio.co.jp

 

株式会社サンリオの成り立ちや成長は、創業者の辻信太郎氏が小物雑貨の販売においていちごのイラストをつけて売り上げが伸びたことがきっかけだそうです。

商品にきれいでかわいいイラストをつけることで売れ行きが大きく伸びるという“付加価値”の視点は、実際の価値以上の見えない価値を売り買いするオタクの世界にも通ずる部分があると感じます。

 

 

サンリオ男子=モテる

「ミラクルステージ☆サンリオ男子」は若手俳優さんの若い女性ファンにサンリオを好きになってもらうことを目指しているのでしょう。

またはその逆輸入として、潜在的若い女性のサンリオファンにイケメン2.5次元ミュージカルをぶつけて相乗効果の盛り上がりを狙う。今流行りのメディアミックス展開の図式だと感じました。

 

私はこれを勝手にオタサーの姫理論』もしくは『工学部の女子理論』と呼んでいて、異性の分母が大きい分野に入ることによって、実際の価値以上に需要を高めることが出来るという理論です。

モテたいなら姫か王子になれ!というやつです(?)

例1:女性アイドルが麻雀やパチスロを趣味にする

例2:男性オタクがスイーツ好きを公言したりコスプレイヤーになる……など。

飢えた界隈に異性が飛び込んできたことで需要が集まり簡単にモテます。

 

sdan-anime.com

 

ファンを引き寄せるという意味では、“サンリオさん”“若手俳優さん”ファンのターゲット層が被るコンテンツを掛け合わせるのはとても理にかなったやり方です。

例えば最近よく見かけるサバゲー女子なんかそれだと思います。男性から人気のサバゲーの雑誌の表紙を女性タレントが飾る姿は多く見られます。サバゲー女子ってもう概念がめっちゃえっちですし、異性分野に掛け合わせた概念のエモさはよくわかる(それはあなたの性癖では???)

 

 

サンリオ男子は」数年かけて発展してきたプロジェクト。

キャラクター達によるTwitter発信や、2016年4月から始まった杏堂まい氏による漫画連載、2016年9月に配信されたスマートフォン向け恋愛ゲームなどの展開で着実にファンを増やし、2018年1月からはファン待望のアニメ放送がスタート。

2018年4月にサンリオピューロランドにて「ミラクル☆ステージ 『サンリオ男子』」お披露目会が実施されたことを皮切りにネルケプランニングと共同の2.5次元プロフェクトが始動しました。

 

私が「サンリオ男子」に興味を持ったきっかけは、吉野俊介役の吉澤翼さんでした。

大好きな「ミュージカル テニスの王子様」に甲斐裕次郎役で出演していた吉澤翼さんが好きだったから、次に出演された「サンリオ男子」も観劇させていただきましたq(^-^q)

5月に「ミラクル☆ステージ 『サンリオ男子』」のイベントがサンリオピューロランドにて開催されるということで私も足を運ばせていただきましたが、それが人生初ピューロランドでした!

正直なところ、サンリオが好きと言えども茶の間にわかの私的にサンリオピューロランドって憧れるけどわざわざ行くまでもないというポジションの施設でした。関東へ遊びに行くならどうしてもディ●ニー行っちゃいますし……。

でもピューロランドめっちゃ楽しかったです。サンリオが好きなら楽しいと思います。きっかけをくださった吉澤さんには感謝です。

  

f:id:ayuteni0818:20181207160021j:plain

懐かしさで禿げそうになりながらネームプレート作りました。これ好きだったなぁ(;_;)

  

会場でお話を伺った皆さまはサンリオ男子」原作コンテンツのファンの方々でしたが、層は20代前半~主婦の方まで様々です。皆さまプリンさんのファンでした。プリンさんはお強いですね……!

サンリオキャラクター大賞2018でも2位ですからね。3位のYOSHIKITTYの強さよ……震える( ゚∀゚)o彡゚

 

彼氏さんがサンリオファンで一緒にピューロへ来ていると話している方もいらっしゃり、皆さま年パス所持でピューロへ通っているそうです。意外に男性が多い印象でした。リアルサンリオ男子ですね(*∩´o`∩*)

これまでドラマCDやアニメで大興奮していたのにさらにミュージカルになるだなんて、ミュージカル本番がとても楽しみだとおっしゃってました。

 

 

キラキラと狂気のミュージカル

サンリオ男子」は、男子高校生(一部教員)がサンリオの推しキャラを大好きなことを隠して健気に生きる姿を描いたストーリーです。コンテンツによりストーリーが変化するものの基本軸は変わらず、ミュージカルでは関西サンリオ男子が新たに登場します。

 

ミュージカルは和気あいあいかわいいぷりぷりサンリオ大好きな男の子を売りにしたお話的なものかと思っていたが、狂乱オタクの舞台だった。

観劇後はスペースマウンテンに乗ったあとくらいの爽快感がある。疲れているがさわやかな疲労である。

 

舞台でもキャラクターでも何かしらのオタクならば誰もが感じたことのある狂乱が様々な角度から盛り込まれていた。オタク達がイジられている気配をひしひしと感じる。しかしそれは愛のあるイジりで、おもわず笑ってしまうような要素がありすぎて困る。

サンリオさんってキャラクターの動かし方やファンの煽り方における失礼のないイジりがめちゃくちゃうまいし、腹を立てる系のファン層も少ない気がする。

サンリオピューロランドに通っている方ならあるあるすぎて笑ってしまうニッチなポイントもたくさんあったのだと思う。セットや音楽が生々しかった。再現率がすごい!というより、生々しい。

関西サンリオ男子によるファンサービス女装シーンがあるが、足は細いのにスカートから飛び出た膝が筋骨隆々な男で笑う。

 

f:id:ayuteni0818:20181207160328j:plain

天王洲銀河劇場の入り口に晒されるサンリオ男子たちのプロフィール

 

ストーリーはオムニバス形式で進む……が、そんな細かいことはけっこうどうでもいい。

愛くるしさと狂気、愛情とイジり、光と闇……サンリオが確固として築いてきたキャラクターたちやファンが抱える奥深い気概がぞんぶんに詰まっていると感じる舞台だった。サンリオのよさが失われていないのでそこがとてもよかった。あっぱれo(^_-)O

 

自身の浅い経験をもとにするならば、2.5次元のミュージカルって女性ファンが推しのギャグに愛想で笑うみたいな部分が多いから劇場って「ふふふ」って控えめな笑い声くらいしか聞こえないんだけど(大きめなリアクションで笑っちゃいけない圧力もあるような気がする)、サンリオ男子の場内は「ヒー……!!」「はははっ」「ひゃぁぁ」みたいな感じだった。

笑いの間に悲鳴みたいなのが混じってるのが本当におもしろおかしく(主にきりみちゃんさんのくだり)、私も勝手に悲鳴がこぼれていたが、みんなそんな感じだった。

基本的には会場全体がキャーキャー湧いてました。

 

歌って踊る曲や客降りが多く、俳優さんファンの子だけでなくサンリオファンの方も充分ドキドキキラキラを体験できる要素がしっかりあった。

イケメン2.5次元ミュージカルの醍醐味のひとつはこの生の体感にドキドキできるところにあると思っているので、その緩急がバランスよく配置されており見ていて飽きない。

 

また、高い台車を2台使ったセットの移動やサンリオピューロランドを連想させるセットの世界観、縦と横に動きのあるステージの構成が好きだった。ピューロランドで実際に使用されているの衣装でキャストが登場するなどリアリティがあるし、アンサンブルの子達の雰囲気もサンリオに合っていた。

最後の宝塚みたいな衣装が好きだった。私は非現実の夢の世界を求めて劇場に足を運んでいるのだと思う。日常ではあり得ない白のサテン燕尾服?……d(^_^o)夢を見せてくれるとんでも衣装が大好き!

 

f:id:ayuteni0818:20181207160727j:plain

サンリオ本体それぞれのサイズ感が違うのがジワる

 

好きだった役者さん

 ◾️定本楓馬さん

豊原夢ノ介役の定本楓馬くんが想像以上にとてもよかった。

定本楓馬くんは過去にテニミュへ出演しており、個人的に解釈合致のドS不二先輩だったので好きです。

彼は顔が可愛いのに本質は筋トレを好む雄である。が、頭がよく自分のキャラポジションや強みを俯瞰で見れているため客観的に自分の顔が可愛いことを知っている(邪推)

女装やかわいい衣装のお仕事は内心複雑そうだが、きっちりやり通すところが好きだ。

京都人へのイジりと自分がおもしろく見える表情と間をよくわかっていて、つくづく空気が読める男性であった。日本舞踊みたいなやつと、「キティさんvsキティはん」戦争のくだりと、キティはんおみくじクレーマー、おもろいし全部おもろい(おもろい)※おもろい

 

f:id:ayuteni0818:20181207160828j:plain

関西ユニバ男子

 

◾️吉澤翼さん

吉野俊介役の吉澤翼さんは安定感があり、キティさんガチ恋過激派として名演技をしていた。金髪が似合う。ずっとやめないでほしい。

キティちゃんのことをキティさんって呼んでいるしゅしゅくんのキャラクター性がそもそもおもろくて好きだ。しゅしゅくん、初恋の子にキティさんのお守りをもらってからキティさんが好きって設定だけど、君キティさんガチ恋なのでは???と勘ぐってしまう。

ガチ恋のくせに「キティさんは尊敬する人です」という隠れ蓑に恋心を覆い隠すオタクの妙なプライドみたいなやつを感じる。好きなんでしょ?と振ったら「キティさんはそういうんじゃねぇ!!」とかキレてきそう。

吉澤さんはしゅしゅの食い気味なセリフの言い方など、過激派オタクの要素をよく掴んでくれている気がした。

 

クライマックスでキティさんご本人が登場するシーンがあるのが、それが圧巻だ。1番好きだった。

しゅしゅくんのエスコートがとてもかっこよくてでも相手はキティさんで、キティさんが本当に女性に見えてくる。いや、キティさんは女性だったのだ。大量のイケメンがビチッと並んでキティさんに傅いている。

あなたは客席でまばゆいきらめきに呑まれながら「何を見せられてる──!?」と困惑の渦の中へのみこまれるだろう。

 

 

f:id:ayuteni0818:20181207161056j:plain

ペンライトがかわいいしグッズを買ったらビニール袋をくれてうれしかった

 

サンリオおじさん

サンリオおじさんのくだりは大人世代に響く名言が詰め込まれていた。

「好きなものを好きと言える」……これは素晴らしいことだと思う。

 

ほんの少し前までオタクはオタクというだけでキモい扱いをされていた。だからみんな隠れオタクとして世間に擬態する。私はそれが利口だと思うし悪いことだとは感じない。

でも時代は変化して個人の趣向に対する偏見が減ってきた。若い子たちの中にはオタクを公言する人が増えた。

男子だけどサンリオが好き、2.5次元ミュージカルを観に行くよ、そういう趣味趣向がオープンになり小出しにできるご時世なのだと思う。

 

サンリオおじさんの「俺たちの時代は堂々とプリンが好きだなんて言えなかったなぁ」的な言葉は胸を刺した。

オタクが浴びてきた好奇の目が走馬灯のようにかけめぐって切なくなったし、もっと若い世代の子たちには胸を張って好きなものを好きと言える時代が来ればいいなぁと思う。それと、自分の好きなものを否定するような人とは付き合わなくていいと思うし、聞かれたくないことを無理に言う必要もないよ。

 

f:id:ayuteni0818:20181207161438j:plain

千秋楽のニコ生をやるよ!太っ腹!

 

公演は12月9日(日)までとなりますが、当日券販売の情報が出るかもしれません。当日券の情報は公式Twitterで発信されます。また、千秋楽公演の模様はニコニコ生放送で中継されます。

12月にはDVD発売全国イベントが控えており、まだまだ終わらない「サンリオ男子」が駆け抜ける道のりをお見逃しなく!まだ観ていない方はぜひ動画配信やDVDなどでチェックしていただきたいですo(^o^)o

 

かいつまんだ感想となりますが以上となります。

今後もこのような前向きな気持ちになれるメディアミックス展開が増えていけばいいなぁと思いました。

けろっぴさんのお口の絵が描かれたマスクのグッズが欲しいです。

 

 

  

◾️公演情報

「ミラクル☆ステージ『サンリオ男子』」

会期:2018年11月29日(木)~12月9日(日)

会場:天王洲銀河劇場

原作:サンリオ

 

ニコニコ生放送

12/9(日)17時~

千秋楽公演の様子をニコニコ生放送で配信

前半は無料で視聴可能

※全編視聴はニコニコ有料会員のみ

タイムシフト予約→http://live.nicovideo.jp/watch/lv316713126

 

●ミラクル☆ステージ サンリオ男子

http://sdan-stage.com/sp/

サンリオ男子

https://www.sanrio.co.jp/special/sdan/