【映画感想】ボヘミアン・ラプソディ
映画『ボヘミアン・ラプソディ』鑑賞。
伝説のロックバンドQueenのボーカルであるフレディ・マーキュリーの生涯を描く。
HIV感染症により45歳で短い生涯に幕を閉じるまで、閃光のように人生を駆け抜けたフレディ。光と影のコントラストでボロボロになりながらもパフォーマンスや観客と向き合い続ける姿はまさにスター。
Queenをよく知らない人でも理解できるし、Queenの音楽に魂を震わされるはず。
バンドの栄光や葛藤だけでなく、HIVや同性愛、人種差別問題についてなど様々なテーマを考えるきっかけをくれる名画。
公開当初から評価が高くて気になっていたけどすごい映画だった。
フレディは同性愛者(バイセクシャル寄り?)であり、さらにインド系出身。70年代は様々な差別の厳しかった時代なのに、折れずに愛した音楽をやり通したエネルギッシュさに驚いた。
フレディはゲイってことをごまかしつつ愛した女性と結婚したしバンドとしても成功した。
たくさんのお金や名声は手にしたけど権利に目が眩んで近づいてくる人間ばかり。フレディは孤独で自暴自棄、人間不信気味になり、周りの人に天狗のような態度を取ってしまう。長年連れ添った女の人は新しい男を作って離れていっちゃう。
自身のセクシャリティに葛藤しつつ成金化してボロボロになるフレディが栄光から堕落していくスターのテンプレートで見ててきつい。成金みたいな成功の仕方をした人って恐ろしいくらいみんな同じパターンになると思うけど、その原因が芸術的な激しさからなのか孤独からなのかわからないな。
同性愛者ということを隠して結婚してる方なんて現実社会にもたくさんいるのだから、支えてくれるパートナーを見つけるのは難しいんだろう。息が詰まるような苦しい描写の連続に池のエサ待ち鯉のような状態で息継ぎをするしかない……
葛藤したフレディだけど自分の至らなさを反省してバンドメンバーと仲直り。チャリティコンサートで華々しくパフォーマンスをする姿に、大衆は盛り上がり多くの寄付が寄せられた。人種やセクシャリティの差別を超えて音楽は人間をひとつにしてくれる偉大なものだと痛感してしまう。
シーンの切り替えがテンポ良く合間の音楽も効いてる。役者さんもいい演技。体感時間がとても短く感じる映画だった。ズンズンチャ、ズンズンチャ、と足踏みしながら興奮してクソ高い革ジャンをポチりかけた。ロックユー‼️
Queenの曲や歌詞は叙情的でかつ少年のようであり、色気にあふれているのにエネルギッシュ。そんな相反する要素をいくつも併せ持ったフレディ・マーキュリーという人間そのものを体現した音楽のように思う。