【映画感想】容疑者Xの献身
東野圭吾さんのミステリー小説が原作となった大人気シリーズの映画版。
〜あらすじ〜
とある男性の惨殺死体が川原で発見されるが、その影には元夫につきまとわれるシングルマザーと、隣人の数学教師の姿が。天才物理学者・湯川がたぐいまれなる頭脳でねじれた真実を紐解いていく。
フィクションの現実とさほど遠くないような、根本は愛であるはずなのに不器用だったりツキが悪かったりして噛み合わなくて陥る、切ない顛末の美しさに胸がずーんとなる映画。
『最愛』という神ソングの歌詞が作品にぴったりで素晴らしい。ストーリーの中で歪んでいるけど美しいひとつの愛の形を示している。
やっぱり美人を取り巻く熱量ってすさまじいものがある。美人の人生ってドラマティックで芸術みたいだけど、平穏に生きるのは本当に難しいんだなぁ。
冒頭から滞りのない映像が流れていて、セリフが少ないのに情景がとてもわかりやすくてくどくなくていい映画だった。
鬱々とした日本の朝の風景から切り替わったシーンで松雪泰子さんの美しさがパァッと天使のように映える絵の作り方かすごい鮮やかだったし、ダメな旦那さん役の方の演技が上手すぎて冒頭でのめり込んでしまう。
そしてあたりまえ体操なんだけども堤真一さんの役への変貌ぶりが凄まじいですね。
最近みた映画『ザ・ファブル』で演じられていた偽善者ぶったゲスい男・宇津帆の生々しさがえぐくて堤真一さんのことを嫌いになりそうとすら思ったのがとても印象的だった。
本作『容疑者Xの献身』石神哲哉や、堤真一さんを初めて知った『やまとなでしこ』中原欧介のような理系のおとなしい人っぽいときはそういう人にしか見えないのにすごい!きっと演じる人に多少の濁った本質みたいな要素がないと演じられない振り幅かもしれない。お芝居が上手い人は作品に没入させてくれえ観ていて疲れないから好き。
「こういう手紙、これまでも?」と刑事に問われたときの松雪泰子さんの頷き方、もうなんとも言えない名演で、、、。・°°・(>_<)・°°・。いいおぢの車に乗った娘ちゃんへのテニスラケットのプレゼントが映った時にもうわぁ……って涙してしまう。
ラストにかけての鮮やかな伏線回収にすばらしい東野圭吾ミステリーの深みと愛を感じます。東野圭吾さんそんな知らんけどめちゃくちゃおもしろ〜