蝶のように舞い蜂のように刺す

作品へのありがたみを込めるお(^o^)ノシ 舞台・2.5次元ミュージカル・映画の感想備忘録。

私が「名探偵コナン ゼロの執行人」で感じた正義(作文)

 

100人が取り残されたビルがある(突然の哲学モード)。

起爆スイッチを押したら世界人口すべてを救えるとする。

しかし代償として、その100人は犠牲となる。

あなたならどうしますか?

 

◼️~あらすじ~

各国の著名人が集まるサミットの開催を控えた東の都にそびえる新施設「エッジ・オブ・オーシャン」。

サミット当日には2万2千人もの警察官が出動するこの施設で突如、大規模爆破事件が発生。サミット会場を下見中だった警察関係者の中では死者が発生した。

 

警視庁公安部はテロの可能性を示唆。なんと、テロの容疑者として毛利小五郎に疑惑の目が向けられてしまう

小五郎の身の潔白を証明するため、突如現れたヘタレ弁護士・橘鏡子と共に調査を始めるコナン達。

コナンが注目したのは、警察庁の秘密組織・通称「ゼロ」に所属する安室透の影だった。

※コナンは黒の組織で「バーボン」として暗躍する安室が、公安警察の潜入捜査官であることを見抜いている。

「安室さんって敵……だよね? 悪い奴らの」っていう華麗なる倒置法テクニシャンシーンはコナン愛らぶ賢い魂がギュンとなるのでおすすめ!

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◼️お馴染みの流れの中に胸熱な展開がある大人向けなお話

「正義とは?」という難題をテーマとした今作。

警察庁検察庁、警視庁という3つの機関とそれぞれの公安部、それをとりまく人々の物語を描く中でそれぞれの「正義」がぶつかり合う。こんがらがるキーワードが多く展開や演出も複雑なため、大人向けですかね。

 

私は2回劇場に足を運びましたが、最初のオギャー! 安室さんああああうっうううっううううふぅふぅ! っていう感動を摂取した上で、Twitterで詳しいことを解説してくれてる人の考察などを読んで復習してから2回目に挑みました。

1回目は、ストーリーを楽しむというより安室透に興奮する時間であった(小並感)。

 

劇場版名探偵コナンは時事ネタを絡めてくることが慣例で、どんなテーマがくるのかな? とファンの楽しみの一つとなっています。

過去では完成したばかりのスカ●ツリーをマシンガンでぶっ壊したときがテンション上がりました! 聖地巡礼しました。

劇場版のコナンは「テラワロスw」と「かっこよすぎる……」って感情の応酬がやばすぎるので常に心がかき乱され忙しいし体力を使う。ですが大人になってじっくり鑑賞すると、観客を飽きさせない演出の緩急や事件解決のヒントとなるキーワードの散りばめ方がとても上手いことを知ります。よく出来た映画ですよね。

 

今回は東京オリ●ピックを思わせる架空のサミット会場が事件の舞台です。

劇場版公開前の宣伝で安室透が活躍することをチラつかせていたので、公安警察が絡むほどの事件の規模なのだろうなとファンは楽しみにしていました。

『オリ●ピック』『テロ』という大胆かつ繊細な題材をぶつけてきたことで、いろんな大人の事情的に大丈夫なのかな?と ソワソワしつつも、大規模なテーマを前にして気分が高まります。

その他にも、今を時めく著名人や社会問題が所どころに散りばめられていました。ぜひ実際に映画を見て探していただきたいポイントです。博士のダジャレクイズむっちゃ難しい。

 

ドブ下手くそな素人子役の声の出演、今回は斜め上の位置で出てきたのでよかったです。いつか子供をあの声優枠に出すのが夢なので本当に終わってほしくないです。

事件の詳細は要約しますが、メンヘラのホモが敵討ちのため公安を恨み行った国家を揺るがす大事件みたいな感じ(独自解釈)

 

◼️もしも100人の命と引き換えに世界を救えるとして

きっと誰もが映画『アルマゲドン』のような、自らの命を差し出して世界を救う勇敢なヒーローに憧れを抱いている。そして、多くの人がビルに残された全員と人類、両方を救ってくれるヒーローを待ち望んでいる。

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そもそも、普通の正義とは?

「普通」「大多数の価値観」と考えるのならば。

目の前で困っている人がいたら助けたいと思うし、100人が取り残されたビルの起爆スイッチを押すことなど不可能じゃないかな。あくまで人間同士の単位で生きている我々庶民にとって、自らの手で1人でも犠牲を生むことは、殺人になってしまうから。

もしも自分がスイッチを押す役割を任されたら、取り残された人の人生や苦しそうな顔が浮かんで震えてスイッチを押せないだろう。ボタンを押して世界が救えたとしても、やがて罪悪感で心がむしばまれて病むと思う。

 

みんなヒーローになりたい。でもMr.Childrenの『Hero』で歌われているように、ほとんどの人が「誰かが名乗り出るのを待っているだけ」なのが現実だと思う。

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そして、現実では映画やドラマみたいなハッピーエンドなど待っていない。コナンはほとんど全員を助けるしコナン自身も死なないけれど、現実では必ず犠牲があり、その上に当たり前の生活や平和が乗っかっていて、私たちはそういう場所で平穏に暮らしている。

その犠牲は、我々の目に見えない所で生まれては消えているんだと思う。目に見えない部分の役割を担っているのが、安室透が所属する「ゼロ」のような公安警察なのでしょう。

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◼️「今回の安室さんは敵かもしれない」

この映画の中で描かれた犠牲の一つが、「毛利小五郎が捕まる」ことでした。

そして恋人の親である小五郎が濡れ衣で捕まることなど、コナンにとって許しがたい辛酸。コナンは目の前で苦しんでいる人に救いの手を差し伸べずにはいられないタイプなのです。事件や事故にも真っ先に飛び込んでいってしまう勇敢さがある。まさにみんなが思い描く正義感の塊

だからきっと、映画を見ている「普通」の価値観の人と共感するポイントが多くある。

 

その一方で、安室透の正義とは「自らの命をためらいなく差し出す」だけじゃなくて、「起爆スイッチを押し、ビルの中で失われた100人の犠牲への罪と咎を背負って、孤独と共に凛と生き続ける強さ」だと私は思いました。

だって誰かがスイッチを押して手を汚さなきゃいけないことって、この世の中には山ほどあると思うんです。見えない部分で誰かがやってくれているだけで。

 

だけど、安室や公安警察に不信感や嫌悪を抱く人の心情も理解できる。事実、公安に巻き込まれた人々は大切な人を失ったり、立場を追いやられそうになったりしているわけで、それは個人単位で考えれば苦しくて辛い事実に決まっている。

ですがこの映画を観て「公安ひどい!」って気持ちになったなら、その方はどちらかと言えば「普通」で平和的な考えを備えている、恵まれた人だと思う。

ちょっと極論かもしれませんが、私はそう思います。

 

◼️コナンは白い正義。安室は黒い正義。

普通が何を定義するのかはわからないけれど、みんなそれぞれの偏見を備えた上に価値観を作り上げていて、そうすると自分と異なる価値観を否定したり排除しはじめる。人がそうしていがみ合うのがなぜかというと、自身が脅かされるのが怖いからだと私は考えています。

知性と実力を兼ね備えた安室透には多くの人を守れるだけの力がある。だけどより大きな分母の「日本」という存在を守るために、分子である「個人」に刃を向けることだってある

公安警察という組織は、目では捉えられないくらい大きなものを守るために存在しているから、利用できるものなら人の感情だろうが法からはみ出た行為だろうが『何だって利用する』『多少の犠牲はやむを得ず』という考えが根本にあるのだと思います。

「世の中にはね、君たちが見ている世界の裏側があるの(あいまいな記憶)」

……橘鏡子が言っていたように、「世界の表と裏」の対比が劇中でも描かれていました。

有事の際は、内閣総理大臣を本部長とする緊急対策本部という表の顔が存在します。

民衆に見える部分、法や倫理をしっかり遵守するポジションが必要になってくる。しかしややこしい事情とか手順を配慮しなくてはならない対策本部では、迎撃ミサイルの指令がまったく間に合っていなかった。

もしも安室が違法捜査をしなかったら。政府の指示を待っていたら。きっと多くの警察関係者や、タワーに残された人たちは犠牲になっていたでしょう。結果的に公安が多くの命を救ったことには違いありません。そんな風に、この世界が抱える矛盾が表現されていました。

 

作中にはいくつかの正義が登場する。それぞれが信念の元に正義を貫いている。

ただ、橘鏡子のセリフは特によかった。

「思い上がるな!」 「私の判断!」

公安の正義の犠牲となった彼女の正義は、まっすぐで潔いものでした。

 

◼️あくまでも「ゼロ」という存在であれ

あまりにも強すぎる力を持つものというのは得体の知れない恐怖を生みます。なので大衆は、力があり自分たちを脅かす恐れのある公安を、「悪」という枠にはめこみたくなる。

まぁ親しい人を逮捕されたり人生をかき乱されたら、公安を恨むのは当然だと思いますが……。そういった部分も踏まえて、人間には時としてそんな心理が働くのだと思う。

でもどれだけ恨まれようと、最後まで正義を貫き、守り通す。安室の「正義」はそんな計り知れない強さを孕んだものでした。

しかし、「ゼロ」という機関は表の世界に生きる我々の目には見えません。存在しない機関であれ、と名づけられ、日本という大きな存在を守るためにあるからです。

 

風見(安室の部下。30歳。安室のひとつ年上)を×××して「これでよく公安が務まるな……」と××したのも、安室の覚悟の表れだと思いました。あのシーンのあむぴが死ぬほどかっこいいから本当に無理。風見はさぞかしタマがヒュンとしていたことであろう……! うらやましいですぞ!!

風見が所属するのは警視庁公安部。安室はエリートしか入れない警察庁の公安部に所属するので、風見のような部下を監督する立場なのです。公安は隠密のように裏の捜査を行なっているのでヘマされては困ります。思慮深く、時に心を殺して職務を全うする存在でなくてはなりません。

 

安室は逆に、とても人間臭い人なのだと感じました。

劇場版を見終えてまず思ったこと、「彼をここまで突き動かす行動原理は何なのだろう」と。

それはきっといずれ原作の中で明かされていくのでしょう。宮野エレーナとの関係、そして幼少期の泣き虫だった降谷少年にこれほどまでに根深い信念を深く植えつける因縁とは、一体どんな事件があったのかとても気になる。

 

安室が厳しいのはその深い愛情ゆえだと思います。

安室自身だってこれまで犠牲がなかったわけではなく、親友のスコッチや松田など多くの仲間を失ってきた過去があり、心に血が滲むことだってあったでしょう。公安の誰かのヘマでまた仲間を失うようなことになってはいけないという思いから、「本当に恐ろしい人だ by 風見」……冷徹とも取れる態度を貫いているのだと思います。

だけどあんな愛情深い人だからこそ、孤独があって、迷うこともあるのだと思う。淑女みたいな橋の上の水濡れシーン(●REC)で垣間見えた哀愁の表情が、安室透が抱える侘しさを伝えていました。そうして様々な顔が織りなす彼の深い人間性に惹きつけられずにはいられません。

 

そして、コス●コで買い物していたシーンがすごい対照的で可愛かった!

安室さんは梓さんといいペアだなぁと思います。梓さんって天然で鈍いところがあるから、たとえ安室さんがやばいことをしていても気づかなさそうだし、だけどどこかでわかっていて漠然と味方でいてくれそうだから。

安室さんは一緒にいて気が休まる貴重な存在ではないだろうか。

私の中では未完のラブ、恋愛未満、という定義。将来的に安室透が原作中で恋愛描写をされることはないと考えています!

 

◼️狂気の中で枝分かれする正義と悪

突然ですが、私の知人に元マル暴の刑事さんがいます。その見た目はまるっきりヤ●ザです(正直)。

喧嘩が強くて啖呵を切れる人でなければ犯人グループと渡り合えないからです。

それと同様に、国を揺るがす凶悪犯罪者と安室のようなエリート警察官達は、どこか同じ要素を持つのかなと感じました。

黒の組織のような凶悪犯罪者はみんな知能が高く、能力があります。私は「黒の組織」に関しても、賢い人間の中に潜んでいた狂気がほんのひと匙違えて「悪」という方向に舵を切ってしまったのでは、と考えています。サイコパスのような状態に近いのかもしれません。

 

安室がRX-7でモノレールに突っ込む時の目がとても素晴らしかった。イってた。安室に潜む狂気を見た気がします。興奮しました! 彼もどっかタガが外れた人種なんだろうなぁと。

工藤新一、公安警察である安室透、FBIの一員である赤井秀一が生きているのはそういう世界線だと思い知る映画。フーーー

 

そして名言。

「前から気になってたんだけどさぁ……安室さんって、彼女いるの?」←週刊誌の記者ばりに鋭い質問をかますコナン。こんなやばいときに地元のファミレスダベりみたいな質問を……! タイミング笑える。

それに対する安室透の、高級クラブのホステスのような切り返し(え……!? 何この人、ザギンのチャンネー!?)。

私はとても好きです。

 

全体を通して、「機動戦士ガンダム」に似ている世界観だなぁという感想です。

想いだけでも、力だけでもダメなのです(私はキラ教徒である)。

ガンダムも「互いの正義がぶつかり合う」お話だと思っているので、安室や赤井の元ネタとなったキャラクター達とどこか重ねてしまう部分がありました。

 

そしてエンドロールでかかる福山雅治さんの「零—ZERO—」が最高すぎて、劇場でこの映画を見終えたあなたは感動のあまり、アポトキシン4869が口からポロポロ溢れ、「ましゃ(福山さんのファンからの愛称)」とつぶやいていることであろう。

安室透に対する解釈一致すぎてやばい。さては腐男子か。

fukuyamamasaharu.com

 

 

◼️赤井秀一と安室透の関係について(※腐要素あり)

赤安腐女子をわずらっているので赤井と絡めた考察を失礼します。

まず、赤井秀一とコナンくんはとても似ている存在だと思います。シルバーブレッド。小さな探偵さん。

コナンも赤井も、100人が取り残されたビルに、たった1人でためらいなく乗り込んで、100人全員救って、世界も救う。その知能と力と幸運があるから。

それは現実的とは言えないファンタジーなヒーロー像だけど、みんな彼らに痺れて憧れてしまう。「シュウなら何とかしてくれるわ!(赤井夢女の声)」

 

安室透は、赤井秀一を恨んでいる。

同時に、赤井の実力を認めているし、敵わないことも自覚しているんですよね。

 

たくさんの因縁が重なって赤井を恨む形になってしまったんですが……赤井のことは本能レベルで気に食わないけど、安室さんは他人の実力に嫉妬するようなケツの穴の小さい男じゃない(でも赤井さんのライフルは結腸まで届く)から、やっぱり違った切り口での感情の動きを感じる。

「あのデキる赤井秀一がなぜ、たった1人の捜査官(スコッチ)を死から救えなかったのか」

そんな絶望があったんじゃないかな?

かけがえのない親友を失った安室さんはやりきれないパラドックスを抱えた。FBIという別機関に所属する者同士だが同じ悪に立ち向かう同志。ある意味では赤井を信じていたからだ。

さらにその後、赤井秀一が死んだという報せを聞いたときなんて、安室さんの心情を考えると……うっ、おっ、おっおっ(´;ω;`)(のちにコナンの機転を利かせた偽装とわかる。緋色シリーズ見てください。早口)

安室は赤井をこじらせているんです。だから普段はクールな器にしまい込んでいる仮面を崩して感情を露わにして、本能むき出しで赤井秀一固執するのではないでしょうか(かわいい)。

 

すべてのカタがついて遺恨が昇華したら、この2人絶対つき合うと思いませんか?????????????????

これほど特別な繋がりを結んだ2人がただの友人のまま収まるとは私には思えません(早口)

赤井秀一は、安室透もとい降谷零にとって、最大の宿敵であり、同時にものすごい爆発力をもって最高の理解者となり得る存在ですよ……!!!!!!!!、!!、

Pixivというサイトへ飛び、「赤安」と検索してください。よろシコお願い申し上げます。

もう1回劇場版を観たいし、早くBlu-rayを買って一時停止を繰り返して全コマの安室透の表情や腹筋のチラリズムをチェックしたい所存です。

コナンの中ではベルモットが1番好きです!

 

◼️映画情報

劇場版名探偵コナン ゼロの執行人

公開日:2018年4月13日(

名探偵コナン 公式サイト