【映画感想】鍵泥棒のメソッド
売れない役者と売れっ子の殺し屋が入れ替わるお話。
堺雅人さん扮する売れない役者・桜井と、香川照之さん扮する記憶喪失になった殺し屋・コンドウが入れ替わり、それぞれの人間として生活を始める。
自分が売れない役者であると思い込んだコンドウがコツコツ努力を重ねると、桜井の人生が上手く回り始める。
「大事なのはこれからどうするかだと思うんです」
何もかも忘れてしまって、ゼロからのスタート。年齢も若くはない。
だけどこんな風に考えられたらすべてに前向きになれるんだろうなぁと思った。確かにうじうじしてたって仕方ないし、逆境を味方につけることが大切だ。
人の感じ方や性格は変えられないが、そこからの考え方は変えられると思う。
シナリオの矛盾がなくテンポが良いのですんなりストーリーに入り込めました。シナリオの進行を助け、観る人を飽きさせない、登場人物の個性的なキャラクターとコミカルな演技が特徴的で素敵……
売れない役者、殺し屋、結婚を望む女。3本の軸が同時に絡み合いながら進む少し複雑なあらすじですが、展開がわかりやすい。
余計な部分を削ぎ落とし、必要なシーンだけを緩急つけて際立たせる良きシナリオ。
役者さんの好演の後押しがあるからこそですね。
合間に入る悪気ないセリフが皮肉で笑えるw
香川照之さんの演技力が凄まじい。
他者の人格を演じる『役者』という仕事を全うしている方だなぁと感じますし、個人的にとても好きな役者さんです。別人格を同じ作中で演じ分けるその技術はまさにプロのお仕事でした。
香川照之さんはかまきりの番組をやっていて、私の嫌いなハグロトンボを美しいと褒めていたからショックだったけど、被り物を被ってかまきりの番組をやる所が好き(?)。
ハグロトンボは蝶とトンボの間の形態をしたベロア素材の生物で、人間に向かってくるので怖い。覚えておこう!
出展:ハグロトンボ地元電車内シャトルラン走事件
2013年に第86回キネマ旬報ベスト・テンで日本映画脚本賞、芸術選奨文部科学大臣賞、第36回日本アカデミー賞・最優秀脚本賞を受賞している作品。