蝶のように舞い蜂のように刺す

作品へのありがたみを込めるお(^o^)ノシ 舞台・2.5次元ミュージカル・映画の感想備忘録。

【映画感想】きっと、うまくいく

映画『きっと、うまくいく』鑑賞。

 

スカッとするのに人生の普遍的な命題について考えさせられるいい映画。インドらしい人々のエネルギーが爆発している良作💣

 

f:id:ayuteni0818:20210125195345j:plain

きっと、うまくいく 字幕版(https://www.amazon.co.jp/amazonprime

 

インドを代表する名優であるアーミル・カーンが主演のインド映画。正直パッケージで損していると思う。

舞台となるインドは人口13億人超、地球で2番目の人口(2020年時点)を誇る。次なる覇権を担う上り坂にいるインドだが、カーストの選民思考の名残りが強く残っている。いい大学に入ってエンジニアか医者にならないと人権がないような、厳しい競争社会で若者がもみくちゃにされている。

大人に自我を殺された若者たちは社会との摩擦を抱えており、インド都市部では自殺問題などが浮き彫りになりはじめていた。

 

なんとか大学に合格したファルハーンとラジューは、破天荒な男ランチョーと出会う。少し卑怯ともとれる手段を駆使しつつ社会への懐疑をぶち壊し危機を切り抜けるランチョーに、振り回されたり救われたりしつつ、"3馬鹿"は絆を深めていく。

 

歳月が経ち、ファルハーンたちは行方不明になった昔の友人を探していた。

卒業後に突然姿を消したランチョーの正体を解き明かしていく道中で、人生において何が勝ちで負けなのか?正義や幸せの定義とは何なのか?さまざまな命題が投げかけられる。シンプルだけどグサッと本質を射抜くようなエピソードが折り重なるたびに、青春時代に抱えていたモヤモヤと重ねて観てしまう(厨二病だった)

ランチョーが知り尽くしている価値観って気付くのが早ければ早いほど幸福な人生を送れるんだろうな。日本は物質的には豊かな国だけど、若者の幸福度が世界的に見て低いことを考えてしまった。厨二病だって現代病だからな。時代の先を走る価値観に触れて、幸せな生き方に向き合うことのできる作品。

 

3時間の長尺映画だがダレずに見れる圧巻の演出。繊細に張られた伏線と鮮やかな回収、ランチョーの破天荒なやり方はスカッとジャパンを見てる気分になれる。言うても、スカッとジャパンは実際そんな観たことがない。

映画全体がチープにならないような歌とダンスがポップなノリで挿入されていてメリハリがあって、そのたびにこれはインド映画だったって思い出す。インド映画らしい底抜けの明るさとセンスが光っていて楽しい。

 

インドの抱える競争社会問題を鋭くユーモラスに捉え、哲学的なメッセージも含まれている。2013年発表のタイトルだが哲学や思想が先進的だった印象。

作中で出てくる「Aal Izz Well(きっとうまくいく)」がキーワードとなり観る人を前向きにしてくれる。